義務教育をほぼ不登校で過ごした、ちまたきです
不登校になった子の居場所として、よく耳にするのは「フリースクール」かと思います。
名前の通り、自由な学校というイメージがありますよね。
一方で、近年政府が推し進めている「不登校特例校」。
この不登校特例校は、フリースクールとはいったいなにが違うのかを解説していきたいと思います。
不登校特例校に向いている人は、明確な目標がある人と、新しい環境でスタートしたい人です。
不登校特例校とは?
不登校特例校とは、不登校児生徒のために配慮された小学校・中学校のことを言います。
不 登 校 児 童 生 徒 の 実 態 に 配 慮 し た 特 別 の 教 育 課 程 を 編 成 し て 教 育 を 実 施 す る 必 要 が あ る と 認 め ら れ る 場 合 ,特 定 の 学 校 に お い て 教 育 課 程 の 基 準 に よ ら ず に 特 別 の 教 育 課 程 を 編 成 す る こ と が で き る と す る 特 例 措 置 に よ っ て 文 部 科 学 大 臣 か ら 指 定 さ れ た 学 校 を い う 。
文部科学省 不登校特例校の設置に向けて【手引き】より
例えば、
- 少人数での指導
- 一人一人のレベルに合った、習熟度別指導
学校になじめなかった子や、学習面でついて行けなかった子に配慮されている特別なカリキュラムで構成されることが許された学校です。
指定を受けた学校は、文部科学省のホームページで公表することが義務付けられています。
令和5年4月1日現在、24校(公立14校、私立校)が不登校特例校の指定を受けています。
不登校特例校の設置者一覧 :文部科学省 (mext.go.jp)
不登校特例校とフリースクールの違い
では、不登校特例校とフリースクールは、どのような違いがあるのでしょうか。
大きく違うところを4つに分けて解説していきたいと思います。
不登校特例校とフリースクール、どちらも学校や団体によって特徴が大きく違うので、あくまでも大まかなイメージで考えてもらえると嬉しいです!
違い①勉強面
不登校特例校では、通常の学校と変わらずに自分に合ったペースで指導してもらえます。
学校によって特徴は大きく変わりますが、「不登校生徒でも普通の子供たちと変わらない学習をしてもらおう」というのが不登校特例校のおおきな特徴です。
座学だけでなく、校外学習などの体験型も多くあります。
ですから、勉強面では様々な体験や経験ができるところが多いのではないでしょうか。
また、学校ですので高校に進学するなど進路指導もあります。
一方のフリースクールは、学習面の指導というよりも居場所の提供がメインというところが多いと感じます。
実際に私が通っていたいくつかのフリースクールでも、「ありのままの自分でいられる場所」といった感じで、勉強に力を入れているところではありませんでした。(もちろん本人のやる気があれば指導してもらえますが)
違い②生活面
不登校特例校は、不登校生徒に配慮しているといえど、通常の学校と似たような時間を過ごします。
不登校生徒の将来も踏まえ、卒業までに規則正しい生活を身につけることに力を入れているところもあるでしょう。
通常の学校よりも不登校生徒が通いやすい教育課程というだけで、生活リズムは似ていると思います。
フリースクールでは、もちろん場所によってさまざまだとは思いますが、勉強よりも生活に力を入れているところが多いと思います。
私が通っていたところは、自分自身との向き合い方や、生きていくうえでの生活力、居場所と提供してくれるところでした。
フリースクールという名前の通り、時間割なども特になく、とにかく自由な場所もあります。
休んだって怒られないし、勉強していてもお昼寝していても問題ありません。
自分のペースで、自分の居心地の良い場所を探している方にはおすすめです。
違い③在籍する場所
不登校特例校は、今不登校の学校から転校するという扱いになります。
一方、フリースクールでは、今の学校に在籍したまま通います。
違い④数の多さ
不登校特例校は、不登校生徒が増加していることから全都道府県に6校ずつ設置するように政府が促していますが、まだまだ数が少ないのが現状です。
また、行きたいと思っても家の近くになかったり、倍率が高かったりするかもしれません。
フリースクールでは、全国に474か所あり、色んな特徴から家の近くで探しやすいのではないでしょうか。
全国的に見ても不登校特例校と比べると数も多く、自分にあった場所を見つけやすいです。
不登校特例校のメリット
ではここからは、不登校のメリットについてみていきましょう。
しっかりとした勉強が受けられる
不登校の子に配慮している学校のため、勉強面でのサポートもしっかりしています。
学年を超えた習熟度別指導などもあるので、学校に通えるようになることだけでなく勉強を学ぶことも可能です。
進路指導をしてもらえる
現在不登校だとしても、将来高校や大学を目指している方も多いと思います。
高校受験や大学受験を受ける場合には、通常の学校と変わらない進路指導を受けられます。
通常の学校と変わらない出席扱いになる
不登校特例校は文部科学省に指定されているので、通常の学校とカリキュラムが変わっていても出席扱いになります。
将来、高校や大学に行きたいと思っていても、きちんと通っていれば出席日数で悩むことはありません。
不登校特例校のデメリット
ではここからは、デメリットについてみていきましょう。
転校する必要がある
不登校特例校に通うには、今在籍している学校から転校する扱いになります。
そのため、今の学校では卒業できなくなり、仲が良い友達がいれば離れてしまいます。
もし不登校の原因が人間関係や環境の場合は、新しい環境からのスタートになるのでおすすめです。
学校の数が少ない
近年不登校生徒が増加していることから、政府が全都道府県に6校ずつ不登校特例校を設置するように促していますが、まだまだ数が少ないのが現状です。
基本的に都心部に集中していることが多く、引っ越しをしないと通えない方も多いと思います。
また、在籍できる生徒数も限られてくるため、転校するための倍率が非常に高くなる可能性があります。
ですが、今後は不登校特例校の数が増えてくることが予想されるので、全国の不登校生徒が通いやすくなる場所になるのではないかと思います。
不登校特例校に向いている人
いろんなフリースクールに通っていた私が思う、不登校特例校に向いている人は、将来の夢が明確にある人と新しい環境でスタートしたい人です。
一つ目の、将来の夢が明確にある人というのは、例えば以下のような方。
- なりたい職業がある
- 高校や大学に進学したい
私は不登校特例校の最大のメリットは、出席日数扱いになることだと思います。
出席日数というのは、進学または就職する上で一番大切になってくる部分です。
フリースクールでも出席扱いされるケースもありますが、条件をクリアしていないといけないなど絶対ではありません。
将来の夢や目標がある人にとって出席日数は大事だと思うので、不登校特例校が向いていると思います。
二つ目は、新しい環境でスタートしたい人。
今いる学校で、人間関係や環境に悩んでいる方にとって、転校できるというのは大きなメリットになると思います。
フリースクールはあくまでも今いる学校に籍を置いたまま通うので、学校とのつながりを切れるわけではありません。
しかし、不登校特例校なら転校する扱いになるので、すべて初めからのスタートです。
心機一転したい人にとっては、良いきっかけになるかもしれません。
【まとめ】自分に合った学校を見つけよう
ここまで、不登校特例校について解説してきました。
不登校特例校とは、不登校生徒に配慮して教育課程を考えた学校のことです。
特徴としては、
- 転校扱いになる
- 習熟度別授業や進路指導など、勉強面でもしっかりサポート
- 出席日数扱いになる
- 全国に数は少ないが、これから増える可能性あり
不登校特例校に向いている人は、将来明確な夢や目標がある人と新しい環境でスタートしたい人です。
ひとくくりに不登校特例校といっても、学校によって特徴が違います。
勉強面に力を入れていたり、社会性に力を入れていたり。
フリースクールでも同じことです。
どちらが絶対におすすめということはありません。
自分に合った居場所を見つけてほしいです。
その居場所探しのお手伝いができたならうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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